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書評!?絶唱感情吐露オエーの巻

今日は、湊かなえさんの「絶唱」を読んでの感想を書こうと思うよ。
微ネタバレになるかもしれないけど、ネタバレとかをびびるような作品でもないからいいか。
この本は、全四章のお話が短編でありながら有機的に繋がり会う構成となっている。
異国の地トンガで出会う阪神淡路大震災という共通の体験から異なったトラウマを持つことになった人達がトラウマを乗り越えるまでのストーリーである。
今回はその中でも、最後の章「絶唱」で感じたことをメインに書いていきたい。
この章は、他の章が、フィクションであるのに対して、湊かなえさん自身が自らの体験を特定の人に宛てた手紙として描かれている。
この中では、ただひたすらに震災での体験を書いているのに加えて、湊さんが感じている親友コンプレックスが滲み出ている。誰かに一番愛されることは、出来ないのだという悲痛なほどの叫びが。この感覚に非常に共感した。確かに、友達と呼べる人はたくさんいるし、回りに人がいないわけでもない。
けれども、時折、あーこの人が一番信用しているのは自分ではないのだなと思うと急に悲しくなる。しかしながら、最近気付いたことがある。おそらく、最後に湊さんも同じ思いをしている人にこう提案したのではないかと思う。

そもそも、他の人は、この人が一番仲良いだとか、一番信用できるとかは、そんなに考えていないのだと。自身が過剰に一番を意識する結果、誰も信用しなくなり、誰にも信用されていないような感覚に陥る。

意外と人は信頼していいし、信頼されているものだ。
一番とか二番とかはタイミングによっても変わるし気にしなくていい。周りの人を愛せば、周りも愛してくれる。
そんなことをもっと上手に表現してくれるのが、この「絶唱」なんだと思う。